都会の中心街の大通りは祭やマラソン、 パレード等のイベントが行われるストリート・ステージ (路上舞台) としても転用される。
那覇の国際通りも、 四つの大きなイベントが行われ賑わう。 一つ目は那覇大綱挽 (ひき) の前夜祭 「市民演芸・民俗伝統芸能パレード」 で、 安里から県庁前まで八つのステージで演舞となる。
パレードの先頭が美の競演で見逃せない。 ミス沖縄、 九州各県のミス美女たちがスタイル美でゆったり歩き笑顔で観衆に目の保養を提供。 次々と路上舞台で市民団体、 芸能保存会の民俗芸能が演ぜられ、 観衆の惜しみない拍手が沸く。 私はむつみ橋前で観る。
宮古郷友会からも平良 「漲水 (ぱるみず) ぬクイチャー」、 多良間 「凱旋 (がいせん) の舞」、 砂川 「うるかクイチャー」 が出演を重ねていたが、 いつしか3つともプログラムから消えていて寂しい。
二つ目は 「NAHAマラソン」。 2万人を超すランナーがカラフルなユニフォームで松尾の坂を下って押し寄せて来る光景は圧巻だ。
私は祭温橋で待ち受け牧志駅を右折するランナー軍団に羨望の拍手を送る。
三つ目は 「世界のウチナーンチュ大会」 (5日間) を終えた翌日の帰国パレード。 5年に1度の大会。 第6回大会は2016年であった。 世界27カ国から7000人を超す海外のウチナーンチュたちは大交流の充実感で頬を染めて国旗を振り腕を高々と上げてのパレード。 沿道の母県人たちとも呼応しての熱狂ぶり。 「また、 帰っておいでネ」 とウチナーグチで呼ぶ。 私も平和通り入口でヤグイしたりした。
さて、 四つ目のストリート・ステージだが前述の3つとは異なり評価がしづらい。 でも私はこの四つ目こそが好きだ。 以前は、 『歩行者天国』 であったが、 今は 「トランジットモール」 と呼称を変えたという。
毎週日曜日の昼12時から夕方6時まで車の乗り入れを完全に規制して、 歩行者に車道を全面開放し、 歩行者に思いっきりの自由散策を提供するイベントである。 すでに実施して10年が過ぎたという。 車列で路面も見えぬ車道が日曜午後の6時間だけは滑走路を見渡す広がりで、 両側の歩道のヤシ並木も忽然と目に入って新緑を思わせ気分爽快。 月並みな表現だが 「都会のオアシス」 を満喫できる。
私は車道のド真ん中のイエローラインを踏んで歩く。 歩きながら空を見上げて、 毎週半日の排気ガス追放の時間を積んでいるのだから、 国際通り周辺の炭酸ガス濃度は減っているだろうと誇らしく感じ、 思い立って那覇市役所を訪ね 「なはまち振興課」 の担当者に伺ったところ、 空気の濃度までは実測していませんとの答えであった。 市民や事業者からは 「イベントが少ない」 「オープンカフェの設置」 の要望があるという。
私は 「イベント無しでいいですよ。 屋台もない静かさ、 今のままがずっといいですよ。 他府県に誇れる。「都会のオアシスです」 と明るく伝えた。 祈る気持ちでもあった。